生簀の恋は青い空を知っているか。
話は続いた。
「確かに星奈とは付き合ってた。でも星奈が留学するときに振られた。それきりこの前のパーティーまで会ってなかったし、あっちはあっちで婚約者を捕まえてた」
「……惚気ですか?」
「少しは乗れよ。自虐だろ」
浅黄さんは呆れたように笑った。
どこの波に乗れば良いのか。
わたしは水面を揺蕩うだけで精一杯なのに。
「ふ、振られた、なんて……」
「もしかしてまだ好きなのかって?」
「婚約者掴まえた当てつけに、わたしと結婚したんじゃないですか?」
「君の質問、さっきからアホみたいだな」
簡単に浅黄さんは槍で心臓を突いてくる。もう血がドバドバ流れているのに。