生簀の恋は青い空を知っているか。
モラ……ハラ……ってなに? 馬鹿とかアホとか言われること?
「にしても、常務本当に結婚したんですね。皆信じてなかったですから」
ですよね。
わたしは繋がれた浅黄さんの左手に何もされていないことを思い返す。
それは、指輪してなかったら、信じませんよね……。
「だから今日連れてきた」
「え」
「なんだ」
「パートナー同伴だからじゃないんですか?」
木暮さんが噴き出す。浅黄さんがそれを一度睨んだ。
「使えるものなら使うのは、常務から教わった手法ですから」
「何が言いたい」
「松葉さん、嘘も方便ってことらしいです」
わたしに教えてくれた。