生簀の恋は青い空を知っているか。
凡人と秀才。
昼休み、コーヒーが飲みたくなって自販機へと向かう。
その前でお喋りをしている営業部の女子たちがいた。
「浅倉さん、彼氏できたんだってー」
「あ、だから最近機嫌良いんだ」
「自分の気分で他人に当たるの本当に勘弁だわ」
またしても、それを聞いてしまった。
くるりと踵を返す。休憩から帰っていた五色くんに話しかける。
「浅倉さん、彼氏ができたからわたしに八つ当たりしなくなったらしい」
「ええ……」
「よく分かんないね、他人って」
少なくとも、わたしの周りにはそういう人がいなかった。