生簀の恋は青い空を知っているか。
次は何、とその動向を見守る。
「先輩のそういうところがダメなんですよ……」
「だ、ダメ……?」
「そういうところがダメで、好きでした」
さらりと言われた。
驚いて瞬きを忘れる。
それから周りをさっと目で確認した。幸い、誰もいない。
いや、違うのかも。
このときを狙ったのかも。
「……優秀な後輩がこわい……」
また笑われた。
わたしはこのとき、すっかり忘れていたのだ。
浅黄さんに隠していたことを話せて楽になった。
仕事先での人間関係が預かり知らぬところで緩和した。
凡人のわたしはそれに安堵していた。
このとき、は。