生簀の恋は青い空を知っているか。

……全部一緒に見えてきた……。

普段、アクセサリーなんて殆どつけないわたしが見てもわかるはずがなく、キラキラした指輪の上を視線が滑っていく。

「気になるものはございましたか?」

店員さんに話しかけられ、顔を上げた。

「……どれも、同じに見えまして」

失礼を承知で言うと、笑われた。それから、これとこれは人気です、と可愛らしいリングを示してくれる。

「可愛いんですけど、つけるの男性で」
「プレゼントなんですね。サイズはおいくつですか?」
「さ、サイズ……!」

すっかり頭から飛んでいた。だからといって、本人に今か電話して聞くわけにもいかない。

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