生簀の恋は青い空を知っているか。
勿論、と答えつつ脳裏にお兄ちゃんのことや理美のことが過る。
それが浅黄さんにも伝わったみたいで、ふっと笑われた。
ダイニングテーブルの正面に座って、サラダのトマトを食べられる。
「オトモダチはどうなった」
「……どうもなってません」
「もっと軽い気持ちで連絡すれば」
「そんなこと出来てたら、とっくにしてます……」
だろうな、ともぐもぐしながら言う。
トマトが好きなんだろうか。浅黄さんはそれを飲み下して、口を開く。
完全に他人事だ。まあ自分のことのように受け止められても困るけれど。