生簀の恋は青い空を知っているか。




就業後、件のデパートへ行った。この前と同じジュエリーショップ。この前と同じ店員さんと目が合って、わたしのことを覚えていてくれたようだった。

「いらっしゃいませ。サイズは分かりました?」
「はい」

と、ストローの袋は出さずに、ちゃんと測ったサイズを伝えた。
浅黄さんに似合うと思っていた指輪を注文する。

受け取りは3週間後、年明けになる。

「楽しみですね」
「んー……喜んでくれるか、分からないですけど」
「喜ばれると思います、絶対に」

店員さんに言い切られると、不思議と気持ちが落ち着く。よろしくお願いします、と返した。

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