生簀の恋は青い空を知っているか。
わたしと然程歳は変わらない。でも、左右対称で整った顔立ち。
口ではそう言いながら、特に申し訳なさそうにするわけでもなく、挨拶をして椅子に座った。
「初めまして、最中浅黄と申します」
さなかあさぎ。
珍しい苗字と名前。
「柴舟松葉と申します」
それからはいつもの流れ。
いつも、と言った通り。わたしはお見合いが初めてではない。
母と付き添いの人たちがいなくなって、二人だけにされる。部屋の中に重たい沈黙がおりる。
「暗いな」
「え?」
上を見上げた。少し笑われた。
「照明の話じゃない」
そう言われて、口元がひきつった。