生簀の恋は青い空を知っているか。
その言葉に対する答えはなくて、わたしはひとり息を吸って吐いた。
「このお見合い、断りますよね」
それは疑問というより確認だった。彼は目をぱちぱちと瞬かせて、んーと何かを考えた。
何を考える必要があるのか。
「断ったら、君はどうなる」
「すぐに次のお見合い話が持ち込まれるでしょう」
「愉快な話じゃないな」
それは彼もお見合い話をよく持ってこられたからだろうか。
「相手が決まらない限り延々とこれは続くんです。貴方まで回ってきたってことは、ここまでわたしは断られてきたんですから」
これまでお見合いの日はいつも雨だった。だからか、少しだけ安心した。