生簀の恋は青い空を知っているか。
中途半端にわたしの空は狭い。
「思えば先輩って一応御令嬢ですもんね」
「成金の没落貴族だけど」
「経営者は変わりましたけど、家族なのは間違いないじゃないですか」
現在、叔父に経営は移っている。
確かに家族だけれど、血の繋がりで言うと薄い。
わたしに経営の手腕がないように、やはりこの血にはそういう能力がない気もする。
「リーダーシップとか指揮者って、選ばれた人にしかなれないんだよ」
PCに視線を落とす。わたしにはこうして総務の仕事がお似合いなように、浅黄さんたちにはそういう仕事ができるということだ。