生簀の恋は青い空を知っているか。

浅黄さんの着ていたものは無闇に洗濯機に放り込むことは出来ず、とりあえずハンガーにかけておいた。

起きてるのか眠ってるのか分からない浅黄さんをベッドに寝かせて、結局ちゃんと話のできる状態になったのは夕方だった。

近所のスーパーで買い物をして帰ると、リビングでテレビをつまらなさそうに見ている浅黄さんがいた。こちらを振り向く。

「おかえり」
「あ、ただいま、帰りました」

まさか彼から『おかえり』と言われるなんて思いもしなくて驚いた。

……スウェット着てるとヒモっぽいな。

「今日は何か、用があったんですか?」

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