Wunder〜巡り会えた友〜

ドイツに留学した日、凛は日本とは違う街並みに感動し、街を歩いていることに嬉しさを感じた。

「あ、ノート買っておこうかな……」

おしゃれな雰囲気の文房具屋の前を通った時、ふと凛はそう思った。ドイツ語の勉強をするのに使おうと思い、凛は文房具屋の中に入る。

「Guten tag（こんにちは）」

挨拶をしながら店内へと入る。店主は白髪混じりのおじいさんで、お客は凛以外いなかった。

「こんにちは。日本人かい？」

おじいさんは挨拶を返し、凛に訊ねる。凛は「Ja（はい）留学しに来ました」と答えた。

「日本！桜がきれいなんだろ？」

「そうですね。春になると、お花見をしたりします」

凛は買い物を忘れ、店主と仲良く話す。その時店の木造のドアがゆっくりと開く。凛がちらりと横目で見ると、黒いフード付きの服を着た男性が入ってきた。

「いらっしゃい」

店主は男性にそう言うと、また凛と話し出す。凛もドイツの人と仲良く話せて嬉しいので、ニコニコ笑って話に付き合っていた。