Wunder〜巡り会えた友〜
「……おい」

レジの前で話していた凛と店主に、男性が声をかける。凛は何かを買うのかと慌ててレジの前からどいた。

「大人しくしろ」

そう言い、男性は上着のポケットからナイフを取り出した。

「ひっ……!」

凛の口から悲鳴がもれる。男性は店主にナイフを突きつけ、「金を出せ!!」と命令した。強盗だ。

店主は「わ、わかった」と言い、レジからお金を出して男性に渡していく。凛は目の前で起きている出来事をただ見つめるしかできない。体は恐怖で固まり、どうにかなってしまいそうだった。

レジのお金を全て受け取った後、男性は凛の方をちらりと見る。凛はびくりと体を震わせた。

「来い!お前は警察が来た時の人質だ!」

男性はナイフを凛に突きつけ、連れて行こうとする。

留学した初日に事件に巻き込まれるなんて、と凛は思いながら男性に従う。その時、店のドアがゆっくりと開いた。

「い、いかん!入って来ては……」

店主が言い、凛もまずいと思いながらドアを見つめる。そこには、金髪のきれいな女の子がいた。背は凛よりも高く、百六十八センチほどはあるだろう。服装はシンプルなシャツと黒いズボンだ。
< 4 / 13 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop