Wunder〜巡り会えた友〜
シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテとは、日本のショートケーキに近く、ドイツでもとても人気のあるケーキだ。スイスやオーストリアでもよく作られている。

チョコレートのスポンジケーキを何層にも切り分け、さくらんぼのリキュールを加えたホイップクリームを挟み、上にさくらんぼで飾り付けをしたケーキだ。

「たしかにそれもおいしいよね！ドイツっておいしいお菓子がいっぱいで、どれが一番かわからないよ」

凛がそう言い、リーゼロッテが笑う。いつものように楽しくて穏やかな時間ーーー。

「ワン！！」

キッチンに立つ二人の足元で、二匹のダックスフンドが鳴く。その目は何か言いたげだ。

「ラプス、リリー、これは私たちのおやつよ？」

リーゼロッテが困ったように笑い、優しく二匹を撫でる。二匹は唇を噛み締めながら、部屋に漂っている甘い香りに鼻をぴくぴくと動かす。

「犬のジャーキーか何かまたあげようよ」

凛の提案に、リーゼロッテは「それがいいわね」と言ってお菓子作りに戻る。ラプスとリリーを見ていて、凛はあることを思い出した。
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