Wunder〜巡り会えた友〜
シュネーバルが完成し、リーゼロッテが青い花柄のおしゃれな皿に盛り付けている間に、凛はマグカップにコーヒーを入れる。

二人は向かい合って座り、おやつを食べ始めた。

「Das ist lecker!(おいしい!)」

二人同時にそう言い、同時に笑う。こうして笑い合っていれば、リーゼロッテはどこにでもいる普通の女の子だ。しかしーーー。

「ねえリーゼ」

凛は思い切って言ってみることにした。この不思議な気持ちが何か知りたいからだ。

「リーゼは……不思議な人よね。私たちと一緒にいるのに、まるでずっと前から生きていたみたいでーーー」

ガシャンと派手な音が部屋に響いた。微笑んでいたリーゼロッテから、表情が消える。リーゼロッテの手から滑り落ちたマグカップは、床に落ち粉々に割れてしまっていた。

「大変!!ラプス、リリー、コーヒー飲んじゃダメよ!」

凛はそう言って立ち上がり、割れたマグカップを慎重に片付ける。こんな時素早くリーゼロッテは動くのだが、なぜか指一本すら動かさない。まるで銅像のように固まっている。
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