Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
目の前の龍美さんへのあまりの恐怖に、眩暈がし、目の前が暗くなっていく。


こんな経験は初めてだ。


心臓がスゥっと冷えていき、全身の血の気が引いていく。


今のあたしはきっと顔面蒼白だろう。


もう何も喋れないし、動けない。


龍美さんの視線であたしの動きの全てを封じられている。


眼鏡の奥でその瞳がキラリと光ったように見えた。


「聖、何やってる。早く」


龍美さんの右手がゴソゴソと動く。


その手には拳銃が握られていた。


銃口はあたしに向けられている。


スマホが鳴ればすぐに射殺されるかもしれない。


「俺、玲香とまだ連絡先交換してないんで」
< 100 / 406 >

この作品をシェア

pagetop