Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
宮瀬の表情はいつもと違い、冷たくなかった。


暖かくはないけど、どこか人間味を感じる。


そんな表情。


「ヤクザの娘に生まれてきたのは自分のせいじゃない。でもそれを不都合と捉えるかどうかは自分次第だろ。そうやって考えていけば、世の中案外不都合なんて少ないもんだ」


宮瀬はそう言い口元を緩めた。


「努力さえすれば不都合なんてすぐ消える。自分中心に世界だって回せる」


たしかに宮瀬は自分中心に世界が回ってると勘違いしてるような言動ばかりだ。


でもそれは宮瀬の努力あっての言動なのかもしれない。


…案外宮瀬も考えてんだ。


努力してんだ。


「……宮瀬は友達いるの?」


「いない」
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