Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
宮瀬はずっと落ちついてる。


あたしとは大違いだ。


「…で?何があった」


宮瀬が冷たいのはいつものことだけど、怒ってるところを見るのは初めてだ。


いつもより語気が鋭く、浴びせられる視線も苛立ちを含んでいる。


「…エスカレーターから誰かに突き落とされたんだと思う…。犯人はたぶん逆走して逃げてった」


あのとき、犯人の顔を振り返って見ていれば…。


「勝地は?」


相当苛立ってるのか、貧乏ゆすりまでし始める宮瀬。


話すのが怖い。


今は救急車の中で他に人がいるから何もされないだろうけど、このあと何かされるかもしれない。


「早く答えろ」


「…怒らない?」


…何聞いてんだあたし。


これじゃ余計苛立たせるだけだ。
< 156 / 406 >

この作品をシェア

pagetop