Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

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医者によると、命に別状はなく、1週間の入院で済むらしい。


麻酔から覚めた沙耶は、元気そうに笑顔を作る。


「玲香、なんでそんなお通夜みたいな顔してんのよ。全然ピンピンしてるんだから」


包帯が巻かれた指であたしの頬をツンツンする沙耶。


「翔と聖も来てくれたんだ。大袈裟だなー。てかあんたたち仕事あるんじゃないの?さっさと戻りな」


シッシッと追い払う仕草をしてみせるも、どこか嬉しそうだ。


いつも通りの沙耶の姿がそこにある。


「誰に突き落とされたとか、何でもいい。覚えてることあるか?」


目覚めたばかりだというのに、淡々と質問を浴びせる宮瀬。


いつもの怖いくらいの落ち着きを取り戻したようだ。
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