Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「こっちから行けば近いんだっけ…」


街灯のない路地に入り、乱れた息を1度整える。


さすがにずっと走り続けてたら体力も無くなるし、万が一の時に戦えない。


「……い………よ…」


複数人の足音と話し声、何かを引きずる音が建物の裏から聞こえてきた。


引きずる音に加え、何かを殴る音。


人を殴る音だ。


もしかしたら─。


「ナオ…」


ナオかもしれない。


足音を立てないように、そーっと建物の裏へ移動する。


雨の音であたしの足音はあまり聞こえないだろう。


角から路地を覗くと、5、6人で一人の男を囲んで暴行を加えていた。


暴行を加えられている男は意識を失いかけていて、このまま死んでしまうかもしれない。
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