Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「…ごめんな。もっと余裕持って玲香と付き合えればいいんだけどな」


ナオはそう悲しそうに笑った。


その姿にギュッと胸が痛む。


ナオにそんな顔をさせたのはあたしだ。


ナオが謝ることじゃないのに…。


「ごめんねナオ…。ホントにごめん…」


苦しいのはあたしじゃない。


ナオのはずなのに。


あたしが泣きそうになってどうするんだ。


「……玲香、俺じゃ満足できない?他の男のところ行かないと満足できない?」


「ちがう…」


そんなことない…。


そんなことないのに…っ。


そんな切ない顔しないで…。


「じゃあ何で?なんであんな奴に…」


「ごめん…」


謝ることしかできない。


弁解することもないし、言い訳なんてしたくない。


ただ謝るしかないんだ。
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