Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
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─8月
沙耶は退院し、松葉杖だけど元気そうだ。
「あーあ。プール行きたかったな。せっかく玲香は水着買ったのに」
晩ごはんを頬張りながらいじける沙耶。
「じゃあ来年行こうよ」
来年あたしは生きてるかどうか分からないけど、そう言っておけば沙耶の気は収まるだろう。
「絶対だからね」
「はいはい」
これでまた死ねない理由が増えた。
こうして理由を増やしていかなきゃやってられない。
あたしは今、死の淵を歩いてる。
一歩踏み外せば死へ堕ちてしまう。
支えなんてない。
1人ぼっち。
「玲香ー。飯食ったら俺の部屋来い」
宮瀬からお呼びだしだ。
最近、あたしへの命令が減った。