Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「…あ?なんだてめぇ」


あたしの発言が想定外だったのか、ナイフを回す手を止め、射るような視線であたしを見下ろしてくる。


「だから、別にあたしで遊んでいいっつってんの」


抵抗なんてしない。


コイツの筋書き通り動いてたまるか。


どのみち犯されるんだから。


「チッ。変な女だな」


男はそう言ってナイフをあたしの頭スレスレにぶっ刺す。


そして、強引に唇を奪ってくる。


「…んっ…」


女慣れしすぎてる。


それがすぐに分かるようなキス。


…あぁ。


あたしはこのキスが嫌いじゃない。


酔ってしまいそうで、とろけてしまいそうで。


ナオ、ごめんね。


ナオ以外の男に抱かれて、初めて気持ちいいと思ってしまった。


ごめんなさい…ナオ…。
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