Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
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久しぶりにあたしがあたしじゃなくなった。
ナオですらあたしをこうすることなんてできない。
なのに、この男には…狂わせられるんだ。
全身がこの男を欲しがって、心ではあり得ないって思ってるのにこの男を求めてる。
…こんなの、あたしじゃない。
「お前、名前は?」
行為が終わり、グッタリしたあたしに男が話しかけてくる。
「…汐美玲香」
気がつけば外の雨は止み、太陽の光が射し込んできていた。
一夜だけの関係の男の名前なんて興味ない。
ナオは今どこにいるんだろう。
「汐美玲香…。琴吹組か」
……。
琴吹組の末端でしかないあたしの名前まで把握してるなんて。