Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

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決行の夕方、日が沈みかけている時間帯。


宮瀬と城田さんが一時帰宅してきた。


軽くご飯を食べてから出陣だ。


「沙耶は?」


…失敗できない。


裏切って拉致させたことがバレたら終わりだ…。


「まだ買いたいものがあるらしいからあたしだけ先帰ってきた」


そう答えると、宮瀬は眉間にシワを寄せてあたしを見据える。


心臓がドクンッと羽上がるが、表情は変えない。


「ちゃんと勝地さんが一緒にいるから大丈夫」


宮瀬を欺ける自信なんてないけど、倉庫に攻め込みに行くまでの間だけ…。


それだけの間、お願いだから気づかないで…。


今ここでバレたら、沙耶との友情を失い、ナオを失い、あたしの命も失われてしまう。


すべてが水の泡になる。


それだけは避けたい…。
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