Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「逃げるか逃げない。どっちか選べ。今すぐに」


男はそう言ってあたしの喉元にナイフを突き付ける。


少しでも動けば鮮明な赤が噴き出すだろう。


「…逃げるに決まってるでしょ」


こんなところにずっと居たいわけがない。


それに、あたしはこんな男の奴隷になるつもりなんてない。


「じゃあお前は俺の奴隷だな」


そう言ってあたしのスマホを勝手に操作し始める男。


「勝手に触らないで」


見られたらヤバいやり取りだってたくさんある。


特に、ナオとのやり取りを見られてしまったらあたしたちは終わりだ。


「俺の連絡先追加しといたから」


冷たい瞳を光らせ、用なしとなったスマホをあたしに投げてくる。
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