Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
なんでまだあたしを友達だって言ってくれるの…?


最低な女なのに…。


「…お願い、翔…」


沙耶…。


あたしは沙耶を裏切った。


なのに…なんで…?


「…友情ごっこが通用すんのはこれが最後だから」


城田さんはそう言ってあたしから離れた。


体は自由になったけど、動けるわけがなかった。


全身の力が抜け、何をする気力も沸かない。


誰も何も話さない重い重い沈黙がずっと続いた。


それは永遠のように感じるほど長かった。


どれだけの涙が流れただろう。


どれだけ泣けば傷は癒えるだろう。


「…ナオ…」


ふらつく足取りで、もう二度と動くことのないナオの隣へ移動し座り込む。


握りしめたナオの手は冷たかった。


人の体温をしていなかった。
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