Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
手枷も外してもらい、何時間かぶりに自由の身になったあたしは、投げられたスマホを確認する。


すると、新しく追加された連絡先に聞き覚えのある名前が登録されていたんだ。


「宮瀬聖…」


こんな偶然があっていいんだろうか。


神様があたしたちを巡り会わせたのか、それとも貫田さんの怨念だろうか。


何か強いものの力を感じずにはいられない偶然に、思わず身震いする。


「よろしくな、玲香」


宮瀬聖は、どう猛で炯々とした目付きであたしを見下ろした。


その、ナイフよりも遥かに鋭い瞳を見て確信した。


あたしに彼は殺せない、と。


この眼光を浴びせられるとあたしはもう動けなくなる。


あたしのすべてが、彼に呑み込まれてしまうんだ。
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