Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
宮瀬になら殺されてもいい。


自分で殺す勇気なんてない。


だから殺してほしい。


もう、生きたくない。


「…殺せない。玲香のことは殺せない」


…なんで…?


なんでなの…?


「殺してよ…っ!宮瀬でしょ…?あたしのことなんて簡単に殺せるじゃん…っ」


「……無理なんもんは無理だから」


なんで…?


なんで…っ。


散々あたしを脅すような真似して、結局殺してほしいときには殺してくれない。


なんなの…っ?


「…殺してよ…」


沙耶を突き落とした男だって、貫田さんの娘だって、殺してきたくせに…っ。


「なんで殺してくれないのよ…っ」


静かな街にあたしの叫びだけがこだまする。


誰も何も話さない。


あたしの嗚咽だけが響き続けていた─。
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