Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
沙耶には会えない。


会いたくない。


「チッ。黙って俺に従え」


と、強引にあたしの腕を引っ張り、部屋から引きずり出す宮瀬。
 

その力はあまりにも強く、あたしを恨んでるようにも思えた。


「…離して。行かない」


力の限り踏ん張っても、男の力には敵わなくて、簡単に2階まで連れていかれる。


かと思いきや、さらに下に降りる宮瀬。


「離してっ!」


嫌な予感がし、階段の手すりにしがみついて抵抗する。


1階は組関係者が来るときに使うフロアだ。


誰かが来てるに違いない。


「…これ以上抵抗すんなら怪我すんぞ。それでもいいなら好きにしろ」


「……あたしに何もできないくせに。あたしのこと殺せないくせに」
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