Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
あたしは…ナオのことをほとんど知らない。


自分のことを語りたがらないミステリアスな男であることに間違いはないけど、本当の性格をあたしは知らない。


「……玲香」


ナオはご飯を食べるでもなく、お風呂へ行くでもなく、そのままの格好でソファに腰を沈めた。


刺々しくあたしの名前を呼びながら。


「なに?」 


いくら不機嫌だろうとあたしに当たってくることはなかった。


だから特に警戒することもなく、ナオの隣に座る。


「…これ何?」


乱暴にあたしの頭を横へ向けさせ、首筋に指を這わせてくるナオ。


「…あ…それは…えっと…」


昨夜、宮瀬聖につけられたキスマーク。


どう説明すればいいんだろう。
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