Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
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それから数分歩いてようやく外へ出ることができた。
外はまだ明るい。
「家に近づくのは危険だな…。でも外をウロウロしてるのもな…」
人とすれ違うだけで警戒してしまうし、無駄に緊張する。
こんな調子じゃ心臓が先に死んでしまう。
家に引きこもるのが1番良いけど、あの家は組関係者も来るから危険。
ナオの家は西条組貫田派が来るかもしれないから危険。
外も言わずもがな危険だ。
「…ねぇ宮瀬、あの人って…」
横断歩道の向こう側を歩いてるスーツ姿の男。
どう見ても堅気の人間じゃない。
「ヤベ…こっち来い…!」
焦ったようにあたしの肩を抱き、顔を隠すようにして建物の影へ隠れる。
気づかれなかったようだ。
もう少し気づくのが遅れてたらバレてたかもしれない…。