Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
『…そのホテルは琴吹組の傘下が経営してる。組の奴らがたどり着くのも時間の問題だ』


冷静にあたしを動かそうと話す宮瀬。


機械的で冷たいその声が余計あたしを苦しめる。


『…怖いのは分かる。でも俺がそっちに着くよりも先に組の奴らが着くと思う。死にたくないなら今すぐ逃げろ』


不在着信は10分以上前からたまっていた。


もうすぐに組の人たちが来るに違いない。


鉢合わせでもしたら…?


「無理…動けない…っ」


『……じゃあ俺が行くまで待ってろ。こっちで時間稼いどくからすぐに出れる準備だけしとけ』


呆れたような声が聞こえてきたかと思うと、プツッと電話は切れてしまった。
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