Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
むしろ、これを諦めて逃げた方が後悔すると思うんだ。


「…唯一?あの手紙は?」


…手紙…?


あ…。


気持ちの整理がついたら読もうって決めたあの手紙…。


「お前の私物いろいろ回収されてたから、それだけは俺の部屋に移しといた」


…宮瀬ってなんでここまで気が回るんだろう。


こんな緊迫した状況なのに。


…死ぬのが怖くないのかな。


「……たぶん、俺たちに明日は来ない」


「…え…?」


心臓が嫌な音を立てて暴れる。


「…組は甘くない。運が良くても明日の今頃は日の光を見ることはできなくなってるだろうな」


絶対的な信頼を置いてる人間からの弱音、悲観的観測は死刑宣告に等しい。
< 366 / 406 >

この作品をシェア

pagetop