Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
ノートを引き出しに戻そうとしたその時だった─。


─カチャ…


小さく、でも威圧的に〝死の音〟が背後でしたのは。


後頭部に銃口を押し付けられてる感覚が鮮明にある。


「……だれ…」


家に誰かが入ってきた物音はしなかった。


あたしたちが家に戻ってきた時からずっと居た…ってこと…?


振り返って確認したいけど、動いたら殺されそうで身動きとれない。


「宮瀬…助けて……」


宮瀬は2階にいる。


こんな細い声じゃ届かない。


でも、大声は出せない。


何もできず、ただじっと息を殺していると、バチバチッと激しい電流の音がした。


スタンガン─。


そう思ったときにはもう遅く、肩の辺りに鋭い痛みを感じ全身の力が抜けていく。


「みや…せ…」


助けを求める声は届くことなく、あたしは意識を手放した。
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