Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「…沙耶、よく聞け」


宮瀬の低く地を這うような声。


それは呻き声のようにも聞こえ、より恐怖を倍増させる。


宮瀬以外の誰も口を開かない。


開けない。


誰もが宮瀬が身に纏うオーラに圧されている。


あたしもそのうちの一人だ。


「この女が俺の人生で最大のターゲットだ。その意味、沙耶なら分かるよな」


…あたしが、ターゲット…?


あたしが裏切ったから…?


でも…宮瀬は何度もあたしを助けてくれた。


「……分かんないよ。分かるわけないでしょ!」


すべてを察したかのような声で沙耶はそう怒鳴る。


きっと、沙耶と宮瀬にしか分からない話なんだ。


だったらなんであたしが関係してるの…?
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