Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「…俺が殺したいと心から願った女が二人いる。一人は汐美菜々子。もう一人がお前だよ」


確かな殺意を感じる。


痛いほど、感じる。


「……あたしが何したっていうの」


あたしは何もしてない。


宮瀬に恨まれることなんて何もしてない。


「5年前、俺の母親が殺された。犯人はオヤジだった」


ぼそぼそと静かに、吐き出すように宮瀬は話し始め、沙耶は両手で耳をふさぎしゃがみこんでしまった。


「…俺らの父親は厳しいところは厳しいけど、すぐ誉めてくれたり、時間があれば俺らと遊んでくれるような優しい人だった。

母さんのことも大事にしてくれてた。

母さんも父さんと同じで優しかった。

ずっと笑顔を絶やさず俺らに接してくれてた」
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