Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「父親はヤクザだけど、幸せな家庭だった。

それなのに…その幸せは突然壊された。

俺と沙耶が学校から帰ってきたら、母親が血を流して倒れてた。

母さんは刺殺されてた。

…そのすぐ側に父親が立ってたんだ。

ナイフを持って。

父親は母さんを殺して気が狂ったのか、目撃者を殺そうとしたのか、沙耶めがけてナイフを振り下ろそうとした。

それを庇ってこの左腕に傷がついた。

今でもその傷は残ってる。

その傷を見る度にあの時の映像が頭に流れ込んでくるんだ。
 
そんな風に俺を刺したあと、父親は我にかえって話し始めた。

自分が殺したって。

動機も、教えてくれた。

結局父さんは捕まらなかった。

直人さんや龍美さんが裏で処理してくれたおかげで…。

…その動機が何か分かるか?

母さんが琴吹組を裏切って西条組と繋がってたからだ。

それを聞いて激昂した父親が母親を殺した。

けど!

そんなのは事実無根だった。

後から父親から聞いた話じゃ、汐美菜々子に騙されたんだとよ。

汐美菜々子が、父親に嘘の密告をして母親を殺させたんだよ!」
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