Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
…あぁ…。


貫田さんは恐ろしい人だ…。


人間の心理を理解し、操ろうとする。


「…宮瀬聖を殺り…ます。殺るから殺さないで…」


あたしは…こんなに汚い人間なのに、死ぬのが怖いんだ。


数え切れない数の人間を殺してきたクセに、自分が死ぬのは怖い。


自己チューな人間だと思う。


けど…今は死ねない…。


ナオを残しては死ねない…。


「最初からそう言えばいいんだよ」


貫田さんは乱暴に前髪から手を離し、指に絡まったあたしの毛を払い落とす。


「…貫田…さ…ん…」


「何?」


そう振り向く貫田さんは、もういつもの貫田さんに戻っていた。


その変わり様が怖い。
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