Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「この家の部屋はすべて防音だ。サイレンサー付けて撃てばバレないだろうな」


壁にもたれかかり、余裕そうに話す宮瀬。


あたしが殺せないと思ってるんだ。


だったら殺ってやる─。


貫田さんの娘の仇だ─。


スカートを捲し上げ、太ももに常備してるナイフと、危険なときに持ち歩いてる拳銃、どちらもを取り出す。


拳銃持っててるなんて運が良いかもしれない。


宮瀬に銃口を向け、引き金に指をかける。


こうやって堂々と真正面から狙うのは初めて。


初めての状況で口の中がパサパサに乾燥してくる。


「そこを引けばお前の願望は叶う。引けよ」


「……っ」


指先が震える。


なぜだか、躊躇してしまう。
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