Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
今引き金を引けばあたしと貫田さんの復讐は果たされる。


今がチャンスなのに…。


「それとも」


短く言葉を切り、一瞬の身のこなしであたしの拳銃のセーフティレバーを押さえる宮瀬。


セーフティレバーを押さえられたら撃つことはできない。


必要ない躊躇いのせいで、チャンスを─。


「それとも、他の誰かの願望か」


「……っ離せ…っ」


図星を指され動揺するのを隠したくて、無理やり拳銃を振り回す。


そんな無駄な抵抗がこの男に敵うわけもなく、簡単に拳銃が手から弾き飛ばされてしまった。


「…お前は俺に敵わねぇよ。一生。そして、一生俺を殺れない」


「……」


「否定できないのがお前の弱いところだ」
< 63 / 406 >

この作品をシェア

pagetop