Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
捨て猫…。


まぁ間違ってはない例えか…。


母親は育児放棄してると言っても過言じゃないくらいあたしに無関心だったし。


「孝太(こうた)さん、ちょっと席外しててもらっていいっすか?お客さん来たら呼ぶんで」


「はいはい。飲み物飲みたきゃ冷蔵庫漁っとけ」


孝太さんと呼ばれたその人は、そう言って店の奥の方へ消えた。


カウンターテーブルの一番奥に座らされ、その隣に彼が座る。


「…キミ、名前は?」


柔らかい口調で、あたしが怖がらないように気を遣ってくれてるのがよく分かる。


「…汐美玲香」


あたしなんかが彼と話してていいんだろうか。


彼はあたしがヤクザの娘だって知らないから普通に接してくれてるけど、バレたら皆と同じように離れていく。
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