Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「当然、そんな家庭に長く居れるわけもなくて、俺も家出した。小4の頃だった気がする」


今のあたしより2つ下だ。


そんな早くに家出か…。


「んで、さっきのあの店長に拾ってもらってこうなったって感じ。

…本当にキツかった。

家に居ても誰も俺に見向きもしてくれない。

ご飯を与えてくれることもない。

母親が俺を産まなかったらこんな思いしなくてよかった。

なんで俺のことなんか産んだんだよ。

ずっとずっとそう思って母親を憎んできた。

父親だって同じだ。

俺の存在なんかないように扱って、父親らしいことは1つもされてない。

家に食べる物が無くなったのに父親は帰ってこず、何日もご飯を食べれなかったことだって何度もある。

なんで俺生きてるんだろうなって幼いながらに考えて、でも分からなくて。

父親と母親を憎む気持ちだけが大きくなっていった。

それは今でも変わってない。

でも、孝太さんが救いだしてくれた」


ナオさんの目は強かった。


「俺が孝太さんに拾ってもらったように、今度は俺が玲香を助けたい」


「…ナオさん…」


なんであたしに構ってくれるんだろう。


誰もあたしに見向きもしなかったのに。


ずっとずっと…一人だった。


ずっとずっと、寂しかった。


ナオさんとなら仲良くなれるかもしれない。


久しぶりに誰かとちゃんと話せるんだ。


それだけで嬉しかった。 


あたしでも生きてていいんだ…。


そう思ったんだ。
< 79 / 406 >

この作品をシェア

pagetop