Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
「俺もその神龍の総長任されることになった。孝太さんが計らってくれたらしい」


ナオが言いたいことは分かった。


あたしとナオの所属する組織が完全に対立関係にあることを言いたいんだろう。


あたしは琴吹組の娘だとナオに伝えてあるし、ナオは西条組の人間だと最初から教えてくれていた。


でもそれは、お互いが末端中の末端だったから気に留めてなかっただけで、ナオの立場が総長ともなれば話は変わってくる。


「あたしは別れるつもりないし、離れて暮らすつもりもない」


真っ直ぐナオを見つめて言う。


ナオもあたしを見つめ返して頷いてくれた。


「玲香のこと絶対守る。命に代えてでも」


「…ありがと…ナオ」


でもあたしは知ってる。


守りたいものがあると人は弱くなることを。
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