Hate or Love？愛と嘘とにまみれた世界の片隅で

その目つきが鋭く、嫌な汗が背中に伝う。


あたしの荷物と共に勝地さんが去っていく足音が聞こえ、孤島に１人取り残された気分に陥ってくる。


「玲香、こっち」


宮瀬が自分の隣をポンポンと叩きあたしを呼び寄せる。


目の前には龍美さん。


隣には宮瀬。


異様なまでのオーラに気圧され、珍しく緊張で鼓動が加速する。


「さっきまで話していた通り、彼女が殺し屋をやっている汐美玲香です」


その額に傷のようなシワをいくつも寄せた直人さんが視線だけを動かしあたしをなめ回すように見る。


数々の危険を犯してきたであろうその人相といい、他者を圧倒するオーラといい、宮瀬聖とは比べることができないほどのものを感じる。