Hate or Love?愛と嘘とにまみれた世界の片隅で
視線がこちらにあるうちは、金縛りにあったかのように動けなくて、指先だけが微かに震えていた。


40代とは思えないようなオーラと目つき。


本当に危険な人物なんだろう。


その隣に座る龍美さんは和装ではなく高級スーツに身を包み、メガネをかけたインテリな雰囲気。


髪型は豪快なツーブロックでサイドに髪をかき上げて流すワンサイドツーブロック。


どう猛な蛇を連想させる、毒々しい紫色の髪。


その眼だけで人を殺れそうなのは龍美さんも直人さんも同じだ。


この面々を前にすると、宮瀬さえもが霞んで見えてしまう。


「殺し屋とはいえ、この年齢で俺たちに動じないのはいい度胸だ」


龍美さんがそう言った。


それに直人さんも頷く。
< 94 / 406 >

この作品をシェア

pagetop