予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。
♢♢♢


欠けた床につま先を引っ掛けたと思ったら何故か突然現れた穴の下に落っこちた。

「……っ!きゃあああぁ!」

ミリアは悲鳴を上げながらボフンと音と埃を立てて何やら柔らかいものの上に着地する。

「な、何が……?けほっ」

視界が白く霞むほど盛大に舞い上がった埃に肺が拒絶反応を起こしたように激しく咳き込んだ。

「……こほっ、けふんっ!んんんーっ痛いっ!目が痛いっ!喉もいがいがするー!なんなのよっ!もうっ」

いったいぜんたい何がどうして自分がこんな目にあっているのか。
そもそも今日は厄日なのだろうか?

「ほんとになんなのよ」

何故こんなにも運がないのか。
何故アレもこれも、ろくでもないことばかりに見まわれているのか。

じわり、と埃が入って痛む目頭から、そのためだけではない涙が溢れ出た。
へたり込んだ尻の下が柔らかいのをいいことにボフボフと両手を振り上げては打ち付ける。

「……なによ、なんなのよ。けふっーーーなんで、どうしてよ」

ボロボロと涙がこぼれ落ちる。
うわわぁんと声を上げて、ミリアは泣きじゃくった。





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