予言書を手に入れた悪役令嬢は役を降りることにしました。
ベランダに出るとわずかにヒンヤリとした夜風がミリアの頬を撫でた。

何気なく見上げた空には散りばめられた宝石のような星々が瞬いている。
天上の月は三日月型で、ほのかに赤みを帯びていた。

どこか不吉で、神秘的な色だ。
ミリアはしばらく目的も忘れ夜空を見上げていた。
けれどもすぐにラーナの様子を確かめるために出てきたのだと思い出す。

その場にラーナの姿はなかった。
このベランダには横手に石段があって、庭へと降りることができる。
ミリアはドレスの裾を持って、石段を降りていった。


その後にミリアに起きたことは、簡切にまとめるならたった二行で事足りる。

ミリアは浮気されたのだ。
しかも親友と。

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