花時の贈り物
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卒業式が近づき、予行練習が体育館で行われていた。
生徒たちは並べられたパイプ椅子に座り、先生たちの指示に従う。名前を呼ばれた生徒が壇上に立ち、卒業証書を受け取る。
全員が同じブレザーに袖を通し、同じ方向を見つめていた。そんな光景を眺めながら、本当に卒業なんだなと実感する。
高校生活に終わりが来る。大学に進む人や専門学校へ行く人、就職をする人だっている。中にはもう二度と会わない人だっていて、こうしてみんなが同じ場所にいるのはあとわずかなんだ。
一通り練習を終えると、学年主任の先生がマイクを持って壇上に立った。
「皆さん、練習おつかれさまです」
挨拶から始まり、残りわずかな学校生活を悔いのないように過ごしてほしいという思いが告げられる。
「それと先生たちから、皆さんへのプレゼントがあります」
静かに聞いていた生徒たちがざわつき始める。一体どんなプレゼントが贈られるのかと落ち着かない空気の中、先生たちが窓に暗幕をかけていく。
壇上から大きなスクリーンが降りてきて、先生のひとりがプロジェクタを運んできた。どうやらなにかの映像を見るらしい。
どんな映像なのだろうと胸を躍らせながら、待っていると先生が再びマイクを通して話し始める。
「少し早いですが、これは先生たちからの卒業祝いです」
その言葉を皮切りに、スクリーンに映像が映し出される。