羽のように舞い上がって
真子side
帰りのホームルームが終わって、わたしは、いつもと変わりなく教室を出た。
「真子(まこ)ー!」
背後から話しかけられて、わたしは足を止めて振り返った。わたしに話しかけてきたのは、木嶋 彩乃(きじま あやの)。
右の頰にえくぼがあって、少し茶色っぽい目をしているところが特徴の女の子だ。
そうして、彩乃は少し大人っぽい顔立ちをしている。
背が低くて肌が白いのか、小学生の時は『うちのクラスの子猫ちゃん』なんて言われていたわたしからすると、羨ましい。
小学生で一緒だった人達も、学校に数人いて、「白い子猫のイメージがあるのは変わってないね」と言われる。
高校生になった今でも、よく子猫みたいと言われる。
「あれ、彩乃。どうしたの? 部活は?」
彩乃は、吹奏楽部に入っていて、今日も部活はあるはずだ。
もうそろそろ、部活に行かないと間に合わないというのに、こんなところで呼び止めて、何があったんだろう。
「今週の土日、なんか予定ある?」
月目のままで、彩乃は聞いてきた。
「ううん、ない」
「じゃあ、日曜日に2人でカフェ行かない?」
それを聞いて、わたしの目も月目になった。
「ああ、いいね! じゃあ、約束だよ!」
「うん、じゃあね!」
わたしは音楽室に行く彩乃の後ろ姿を見送ってから、下駄箱で上履きを脱いで靴箱の中に入れた。
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